読書日記

「武藤章」川田稔(2023年10月8日)

投稿日:

A級戦犯として処刑された人の中であまり有名ではないこともあり興味をもった。開戦時に陸軍の軍務局長として陸軍の方針・戦略にかかわっていたことから積極的な日米開戦論者かと予想していたものの、むしろそうではなく日独伊三国同盟、日ソ関係を踏まえそれなりに合理的な戦略をたて、米国との戦いを直前まで反対していた人物であることを知った。むしろ日米開戦を主張し誘導した田中新一や、海軍としてノーといわずにいた嶋田繁太郎ら、もっとA級戦犯として武藤以上に責任を問われてもいい人間がいながら、なぜか武藤が処刑されるという理不尽さも改めて感じた。そういう無念さも含め後世の我々が確り理解することで多少なりとも鎮魂となるのかもしれない。

-読書日記

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

「ジョン・ボルトン回顧録」(2021年2月16日)

「彼には個人的な利益と国益の区別がつかなかった」「行動基準は何が自分の個人的な利益に一番つながるか」「合衆国の大統領がこれほど理不尽な振る舞いをするのを見たことがなかった」 政府の側近たち、そして日本 …

no image

「台湾とは何か」野嶋剛(2022年2月13日)

台湾の2000年代以降の政権交代、そして日台中の関係について書かれたもの。5年前以上前に書かれたものではあるが、全く違和感なく、自分の中でも政治、日台中関係を改めて整理させられた。一部沖縄と台湾の記載 …

no image

「樋口季一郎回想録」(2023年6月22日)

ソ連から満州国への通行を後押ししたことでユダヤ難民を多数救ったことや、戦時中のアッツ・キスカそして占守島の件もあり、有名な陸軍軍人。そのあたりの背景や思考が記述されているかと思っていたが、特に後者の第 …

no image

「自由からの逃走」E.フロム(2024年4月20日)

現代人にとってあまりに重いテーマである。なぜナチズムに多くのドイツ人が傾倒したのか、それを自由に耐えられない、新しい束縛へと進んで服従していってしまうと。人間は社会的な動物であり、近代ヨーロッパが「自 …

no image

「裏切られた台湾」G.H.カー(2022年2月16日)

終戦前の国民党の台湾への認識のなさ(知識のなさ)、終戦後に台湾へ来た国民党兵士及び中国人のレベルの低さ、そして陳儀以下の幹部たちのひどさを、第3者であるアメリカ人が詳細に描写しており、ようやく228事 …